ミュージシャンがゾーンに入っている姿は、奇妙だったり、面白かったり。
僕は見せる演奏よりもそっちの方が好きです。
正直な表現だから。
アメリカにいた頃は至近距離で観る機会がよくありました。
スコフィールド、ベニーグリーン、ビリーヒギンズ、マックスローチ、トニーウィリアムス、その他。
みんな演奏も見た目も個性的でした。
半開きの口と目、おまけに白目だったり。
唸ってしまう人、全開の笑顔の人…
それらは瞬間的に現れます。
その動きが何を意味するのか?
それは音に込められており、一緒に即興の旅にのっていなければ決して味わえないもの。
ジャズが他のジャンルより優れているという話ではなくて…
どのジャンルも即興の要素は含まれているでしょう。
でもその瞬間しかない音、を追求するという意味ではジャズは最もそれに近い。
ショーとして楽しませてくれる(例えばダンス付きみたいな)のも悪くないですけど、僕はその瞬間しかないものが好きです。
人工的に作れないから、正直さがそこに現れるから。
特に海外の客の反応はダイレクトです。
即興の旅は客の関わる部分も大きいです。
即興でない普通のショーは決められた通りやる、再現性が鍵です。
盛り上がる演出を作り、脚本通りやれば儲かるのがゴール。
即興は変わっていきます、二度と同じにはなりません。
上手く行かないかもしれません。
客はそのリスクも共有しています。
そこに人生を垣間見るのでしょう。