ブラジルから日本に帰国して、今度はオーストラリアに視察旅行する事になりました。
行くのは楽しみでしたが、その後の事を考えると軽い気持ちでいてはいかんと思いながら出発しました。
兄も一緒に行き、色々と見て回りました。
兄とはアメリカで一緒に住んでいた時期もある為、色々比較ができて良かったです。
シドニーの街は想像していたよりも地味に感じました。
1995年当時、まだ食べ物はあまり美味しくなかった、というか外食産業は洗練されてなかったです。
フィッシュ&チップスとかサンドイッチばかりで、いつもこんなもの食べてるのかと驚きました。
メキシカンフードが皆無だった事や、ハンバーガーショップが少なく、アメリカとは随分違うんだとも。
一応先進国の一つだろうけど、家電や車は異常に高い事や、家賃も非常に高い事も気になりました。
唯一アメリカよりもいいなあと思ったのは、治安の良さでした。
ロスアンゼルス、ブラジルの後でしたから、安全に感じたのは当然です。
まずはビジネスがどうこうという話よりも、どんな所か見る事が目的でした。
何というか、シドニーの街を見る限り、観光地はいいとして、居住区を見なければと不動産屋に行きました。
当時はバブル崩壊した後とはいえ、まだ日系企業が多くシドニーに残っていました。日本人の不動産屋もあったくらいです。
それでノースシドニー付近を色々と紹介してもらいました。
ニュートラルベイから、モスマンを通り、いい街並みだなあと眺めていたんです。
そして右折したかと思うと、突然青い海と空が現れて、そこへ下って行く景色を見て、これだ!と気に入ってしまいました。
バルモラルビーチと言う場所で、そこが僕のシドニー行きを決めたようなものです。
シドニー湾は複雑に入り組んでおり、至る所に小さな入江ができています。
そして緑が多く、カリフォルニアの砂漠に無理やり緑を育てているのとは違います。
「美しい、なんて美しいんだ…」
一発で気に入ってしまいました。
兄も全く同じ気持ちでした。
こんな適当に決めていいのか?
そう思いながらも、こんな美しい所に住みたいという気持ちを抑える方が難しい事もすでに分かってました。