「トップスピードは過大評価されている」とセス ゴディンは言います。
1か月で何キロ痩せた、1年でいくら稼げるようになった、など。
その再現性を計測するのは難しいです。
最速で痩せる、稼ぐ、などは魅力的な宣伝文句です。
必ず買う人がいます。
だから胡散臭くても、スピードを活かした文句は未だに使われます。
例えば、新幹線なら時速300キロを誇ります。
しかし僕の住む三河安城駅から、名古屋駅まで10分で着きます。
料金は¥2970円かかります。
名鉄新安城駅から、名古屋駅までは26分で着くので16分の差です。
料金は¥570円です。
16分に¥2400円も支払うのは割に合いません。
時間とお金の組み合わせだと少し複雑なので、時間だけの比較をします。
東京まで行くならば、こだま新幹線で2時間47分です。
飛行機ならセントレア空港から羽田空港まで1時間です。
1時間47分の差は大きく感じます。
しかし、セントレア空港までは家から1時間以上かかります。
その上、パーキングを探したり、空港内を歩く時間、チェックインの時間や、もろもろの時間とストレスがかかります。
新幹線なら、家から車で5分の三河安城駅でチケットを買って、乗車するだけ、シンプルです。
長々と書きましたが、トップスピードの比較はどうでもいいという事です。
いかにストレスなく、確実で、トラブルの可能性が低く、リーズナブルな価格、という要素の方が重要だと分かります。
つまりスピードを売りとする商法は、そのスピード以外の要素を盛り込んでいない事が多いと疑うべきです。
例えば、ジムでハードなトレーニングメニューを販売したとしましょう。
それには、「そのメニューをこなせば1か月で10キロ体重を落とす事が可能」と謳っているとします。
そこを強調したとしても、やはり重要なのは消費者のマインドや体調です。
そのトレーニングに耐えられるマインドの強さを持っているか?
いきなりトレーニングして、故障しないか?
継続可能なものか?
継続できなければ、リバウンド確実です。
それらの要素をクリアする事が、リスク回避です。
1か月で10キロ痩せようが、3か月後に5キロリバウンドしたらどうでしょう?
1年かけて無理せず確実に5キロ痩せる方がいいです。
1年という時間が、痩せるための習慣を作るからです。
つまりリバウンドの誘惑を避ける事に成功している訳です。
最後にもう一つ、「1年で月10万稼げるようになる」というタイプのものです。
それも同じで、どういう人が、どういう分野で、どんな努力をすれば、その結果が出るかという具体的なガイドラインがありません。
「これをやればいい」的なアドバイスが多いです。
それもアドバイスを聞く側の人の状態、マインドに大きく左右されます。
学習能力、努力の度合い、向き不向き、など色んな要素があります。
また継続可能かどうかも重要なポイントです。
流行りに乗るだけのテクニックだけでは、すぐに終わります。
5年かけて、足場を固めてから、月10万円稼ぎ始め、そこから右肩上がりになっていくようなものなら信用できそうです。
時代の移り変わりが激しすぎて、ある程度の期間をローリスクで、失敗の経験もする必要もあると思うのです。
つまりスピーディーな成功は、スピーディーな大失敗をも招きかねないと思うのです。
そうでない人は、超才能のある人か、ダークグレーゾーンで稼ぐ人かと思います。
だからスピードを売りにする商法は、疑った方がいいです。
スピード以外の要素、副作用などを考慮すれば、ゆっくり確実にやった方がいいです。