留学した最初は目にするもの全てがショックでした。
まず空港に到着して、兄が迎えに来てくれました。
海風の心地よさ(1月なのに)、海沿いを走る1号線、そしてラジオでした。
なぜラジオ?
今ではネットで無料で全てのジャンルの音楽を聴く事が出来ます。
しかし80年代はカセット、そして80年代後半にようやくCDが定着し始めたくらいでした。
ローカルのFMは2局くらいしかありません。
つまり色んなジャンルの音楽に親しむ機会がなかったという事です。
僕の好きなカントリーの番組は、週にたった1度だけ、しかも深夜2時半から始まるというものでした。
アメリカでは、あらゆるジャンルごとにFM局がありました。
クラッシックロック、メタル、トップ40、ラップ、ラブソング、クラッシック、ジャズ、スムースジャズ、カントリー、ゴスペル…
つまり今と対して変わらない環境がありました。
音楽に関してはラジオ局の差が、そのままアメリカとの実力の差だったと思います。
アメリカには生まれてすぐ、色んな音楽を吸収できる環境がありました。
貧富の差はあっても、ラジオは無料です。
僕は10代の頃ジャズを知りたくても、何からどうすればいいのか、全く情報がありませんでした。
ラジオでもほとんどかからなかったし、周りにジャズを聴く人がいなかったからです。
ギター雑誌は当時はメタルが全て、メタルが最も優れた音楽みたいな感じでした。
だから僕も洗脳されてました。
そしてアメリカに行けば、そういう音楽シーンなんだろうと予想していました。
ところが、そんなかけらもありませんでした。
カレッジではジャズやファンクが王道という感じでした。
ロックを聴く人でも、スティーリーダンやらドゥービーブラザーズの話が多かったです。
ギタリストがほとんどいなかったので、メタルなど話題になりませんでした。
肥沃な土壌だと驚きました。
でも、今は違います。
世界中で同じ情報が得られます。
だからもはや海外がどうとか、あまり言えません。
実際に住んでみて、音楽に対する接し方の違いを語る事はできるでしょう。
でも動画レッスンなどで、実際のミュージシャンからアイデアを聴く事も可能です。
もはやどうでもいいような、雑誌の編集のフィルターなしで学べるのです。
こういう状況なので、これからは沢山日本から良い若手が生まれるはずです。
すばらしい時代になりました。
僕は来年50歳になるので、若い人にしがみついて行こうと思います。