なぜ覚えているのか分からないけれど、鮮明なシーンというのがあります。
誰にでもあるでしょう。
理由がなくても、リアルな体験の記憶として刻まれています。
説明がつけば嬉しいのですが、何も思い浮かびません。
でも、きっとその瞬間は何かを感じていたのでしょう。
僕にはそういうシーンが沢山あります。
工場の手洗い場、泥を練ったような石鹸とその臭いとか…そんなものをなぜ鮮明に覚えているのか?
できればその思い出を辿って、何があったのか知りたいです。
アメリカのゴルフ場にいた野うさぎ、そのゴルフ場に湧き上がっていたガスの臭い、覚えているべき理由が見当たりません。
でも、記憶の中ではとてもリアルな感じを保っています。
その他、どうでもいいとしか思えないシーンや人が脳に沢山残ってます。
記憶だけが自分を形成する訳ではありませんが、紛れもなく自分の一部です。
リアリティを保つ記憶の多くがそういうものだったりします。
でも、面白くもあります。
「別に理由なんかなくてもいいじゃない?」と思う事にしています。
情景だけで、感情がまだ滲み出てきます。
「ああ、生きてたんだなぁ」
とつくづく思う訳です。
特別な事があった訳でもない、そんな日常の瞬間がまだ頭にある事が奇跡です。
それらがまだ僕の中で生きている、何か大切にしたいという気持ちになりました。
そんな事これまで考えた事がありませんでした。
でも「毎日が淡々と過ぎていく、これでいいのか?」と思うようになりました。
以前から、「今この瞬間を感じよう」と意識はしてましたが、おかげで「自分の中にまだ生きている瞬間」をも意識するに至りました。
何だかとてもリッチな気持ちです。