夜明け前が最も暗く、寒いです。
ダビデは王に即位する直前が、暗黒の試練でした。
逃亡生活を続け、追い詰められたので、ついには敵国に逃れる事にしました。
それはかつて自らが攻め込んで、敵軍を打ち負かしたペリシテ人です。
ペリシテ人のために戦い、成果をあげました。
ペリシテ人は動揺し、信用しませんでした。
アキシュ王からは信頼されており、ダビデは呼ばれればすぐに参戦しました。
とはいえ、イスラエルと共通の敵と戦っていたのです。
それがある時、サウル王の率いるイスラエル軍と戦う事になりました。
この事態にも、ダビデはペリシテのアキシュ王の要請に従い出陣しました。
しかしペリシテ軍の猛反対を受けました。
「絶対に裏切るに違いない」とダビデは離脱を余儀無くされるのです。
家に戻ると、ダビデと従者たちの村がアマレク人たちに略奪され、焼き討ちにされていました。
ダビデと従者たちは、服を引き裂き、落胆し、泣きわめきます。
従者たちは、ダビデを石で打ち殺そうと話し始め、最悪な事態となりました。
しかしダビデは奮い立ちました。
皆でアマレク人を追跡し、追いつき、家族を取り戻しました。
その後、間も無くイスラエル軍はペリシテ軍に破れ、サウル王は死にました。
そしてダビデはイスラエルのユダ王国で王となりました。
王になるまで、長い間ダビデは苦しみを通りました。
しかも王になる直前が最も暗かったと僕は思います。
神様に忠実だったダビデですが、逃亡生活によほど疲れたのでしょう。
そもそも敵軍だったペリシテの地に逃れるほど、追い詰められていたのです。
しかも敵軍のために働き、手柄をあげるなどと、かなり屈辱的だったと思います。
その頃は従者の数も増えていました。
しかしその状況からすると、「ダビデは敵軍に自分と我々を売り渡した…」と思って当然でしょう。
その事もあり、最終的にイスラエル軍との戦いに出陣する時には、ペリシテ軍だけでなく、自分も仲間も疑問だったと思います。
だから家が焼き払われ、家族が奪われた時に、味方がダビデを石打ちにしようと言い出したのです。
「敵国の軍に加担している…」
「身の危険を冒しても付き従ったのに、こんな事になった」
結果的に、家族を取り戻し安堵を得たものの、判断を誤った後悔と、苦悩はダビデも従者たちも、ピークだったでしょう。
「王になるどころか、裏切り者の悪党じゃないか…」
神様を信じながらも、助けが得られず、混乱しました。
しかしその中でも力を振り絞り、自分の心を神様に向けました。
詩篇には沢山のダビデの苦悩と祈りが書かれています。
ヒーローの裏話はあまり知られないものです。
しかし、聖書にはヒーローの失敗と苦悩が沢山綴られています。
神様はこれらを通して、ダビデを訓練されました。
夜明け前が最も暗く、寒いのです。