翌日、ミッションベタニアで朝食を頂き、赤土の砂埃が舞う中を歩いてバス停に向かいました。
まだ朝早く、沢山の子供たちがいました。
丁度登校時間だったんです。
アスンシオンの普通のバスは少し小型で、天井が低かったです。
そこに日本の満員電車並みに子供たちが詰まってました。
僕と弟が珍しいのか、ジロジロ眺めてきます。
目線を反らせて宙を見ると、朝日に照らされて、砂埃がバスの中にも充満しているのが分かります。
「ただでさえ低い天井と、体臭で息苦しいのに。一緒にこの砂埃も吸ってんのか…息吸いたくないなぁ」
それだけではありません。
手すりなどを掴むと、彼らの脂ぎった手と、赤土の砂埃が混ざり合い…
「ヌルじょり」
という不快極まりない手触りがしました。
朝から嫌な時間となりました。
早く降りたい…
身動き取れない状態が続き、しばらくして突然ヴァギネルが
「降りるぞ、ここだ」
といい、慌てて出口に急ぎました。
でも、なかなか前に進めない。
何とか体だけドアに辿り着き、さあ出ようとした時、バッグがまだ人混みに引っかかっていたのです。
普通なら子供たちもリリースしてくれると思うのですが…
気が利かないのか、もうバスが動き始めて、どうにもならず飛び降りました。
最後までバッグが引っかかって、そのせいでバランスを崩しながら僕は道路に転びながら着地しました。
失態を晒しました。
その様子を見て、パラグアイの子供たちは、僕の事をバスの上から笑うのです。
弟も、ヴァギネルも…
「スゲー無様だったぞ、笑えた。パラグアイまで来て、子供たちに笑われて屈辱だったな」
バスから降りて、大使館に向かいました。
既にパスポートは出来ており、酷い顔写真が貼られてました。
最初から最後まで親切な対応をしてくれた、大使館の方々には本当に感謝です。
日本語が通じる事と、日本流の接客が身に染みて、有り難く感じた経験でした。